夏目漱石 夢十夜(转自咖啡论坛)
#8
第七夜

 何でも大きな船に乗っている。
 この船が毎日毎夜すこしの絶間なく黒い煙を吐いて浪を切って進んで行く。凄じい音である。けれどもどこへ行くんだか分らない。ただ波の底から焼火箸のような太陽が出る。それが高い帆柱の真上まで来てしばらく挂っているかと思うと、いつの間にか大きな船を追い越して、先へ行ってしまう。そうして、しまいには焼火箸のようにじゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに蒼い波が遠くの向うで、蘇枋の色に沸き返る。すると船は凄じい音を立ててその跡を追かけて行く。けれども決して追つかない。
 ある時自分は、船の男を捕まえて聞いて見た。
「この船は西へ行くんですか」
 船の男は怪訝な顔をして、しばらく自分を見ていたが、やがて、
「なぜ」と問い返した。
「落ちて行く日を追かけるようだから」
 船の男はからからと笑った。そうして向うの方へ行ってしまった。
「西へ行く日の、果は東か。それは本真か。東出る日の、御里は西か。それも本真か。身は波の上。[#「楫」に「ほこづくり」を加える、55-12]枕。流せ流せ」と囃している。舳へ行って見たら、水夫が大勢寄って、太い帆綱を手繰っていた。
 自分は大変心細くなった。いつ陸へ上がれる事か分らない。そうしてどこへ行くのだか知れない。ただ黒い煙を吐いて波を切って行く事だけはたしかである。その波はすこぶる広いものであった。際限もなく蒼く見える。時には紫にもなった。ただ船の動く周囲だけはいつでも真白に泡を吹いていた。自分は大変心細かった。こんな船にいるよりいっそ身を投げて死んでしまおうかと思った。
 乗合はたくさんいた。たいていは異人のようであった。しかしいろいろな顔をしていた。空が曇って船が揺れた時、一人の女が欄に倚りかかって、しきりに泣いていた。眼を拭く手巾の色が白く見えた。しかし身体には更紗のような洋服を着ていた。この女を見た時に、悲しいのは自分ばかりではないのだと気がついた。
 ある晩甲板の上に出て、一人で星を眺めていたら、一人の異人が来て、天文学を知ってるかと尋ねた。自分はつまらないから死のうとさえ思っている。天文学などを知る必要がない。黙っていた。するとその異人が金牛宮の頂にある七星の話をして聞かせた。そうして星も海もみんな神の作ったものだと云った。最後に自分に神を信仰するかと尋ねた。自分は空を見て黙っていた。
 或時サローンに這入ったら派手な衣裳を着た若い女が向うむきになって、洋琴を弾いていた。その傍に背の高い立派な男が立って、唱歌を唄っている。その口が大変大きく見えた。けれども二人は二人以外の事にはまるで頓着していない様子であった。船に乗っている事さえ忘れているようであった。
 自分はますますつまらなくなった。とうとう死ぬ事に決心した。それである晩、あたりに人のいない時分、思い切って海の中へ飛び込んだ。ところが――自分の足が甲板を離れて、船と縁が切れたその刹那に、急に命が惜しくなった。心の底からよせばよかったと思った。けれども、もう遅い。自分は厭でも応でも海の中へ這入らなければならない。ただ大変高くできていた船と見えて、身体は船を離れたけれども、足は容易に水に着かない。しかし捕まえるものがないから、しだいしだいに水に近づいて来る。いくら足を縮めても近づいて来る。水の色は黒かった。
 そのうち船は例の通り黒い煙を吐いて、通り過ぎてしまった。自分はどこへ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて悟りながら、しかもその悟りを利用する事ができずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。

我搭上一艘大船。

這艘船日夜無休無止盡地吐著黑煙,破浪前行。船發出很響亮的聲音。可是我不知道這艘船將駛往何方。只是每天可見燒紅火箸般的太陽,從浪底昇上來。昇到高聳的帆柱上空時,會駐足不動,但不一會兒又會超越船身,漸行漸遠。最後再像燒紅火箸浸入水中般,發出嗤嗤聲沉入浪底。每當太陽沉入浪底時,遠方的綠波會滾滾沸騰成酡紅色。大船也會發出震耳欲聾的聲響奮力直追,卻總是瞠乎其後。

某天,我抓住一位船上的男子問:
「這艘船是在往西行嗎?」

男子訝異地觀看了我一會兒後,才回問:
「為什麼?」
「因為看上去好像在追落日。」
男子呵呵笑了起來。然後逕自走遠。

爾後,耳邊傳來一陣喝彩。

「西行之日,盡頭是東嗎?這是真的嗎?日出東方,娘家是西嗎?這也真的嗎?身在浪上,以櫓為枕,漂啊漂吧!」

我循聲走至船首,原來是許多水手們正在合力拉著粗重的帆繩。

我感到非常不安。既不知何時才能靠岸,也不知將駛往何方。只知道船隻吐著黑煙一直前行。巨浪滔天,蒼藍得無可言喻,有時又會化為紫色。只有船身四周總是白沫飛騰。我感到非常不安。心想,與其待在船上,不如縱身海底。

船上乘客很多。但大半是外國人。不過容貌有異。某天,天色陰霾,船身搖晃不定,我瞧見一個女子在倚欄低泣。更瞧見她擦拭眼淚時那條白色手帕。她身穿印花洋裝。看到她時,我才恍悟原來船上悲傷的人不只是我一個。

一天夜晚,我獨自在甲板上眺望星空時,有個外國人走近問我懂不懂天文學。我心想,我正無聊得想自殺了,根本沒必要學天文學。所以我不回話。可是這個外國人竟說起金牛宮上有七姊妹星團的事,又說,星空與大海都是上帝的創作。最後問我,信不信上帝。我只是沉默不語地望著星空。

又有一次,我到沙龍喝酒,看見一個衣著入時的年輕女子,背對著沙龍入口正在彈鋼琴。她身旁立著一個高大英俊的男子,正在引吭高歌。男子的嘴巴看起來大得驚人。倆人的樣子,看上去像是完全無視他人存在似的,也看上去像是忘卻了身置船上之事似的。

我越來越感到無聊。終於下定尋死的決心。因此某天夜晚,趁著四下無人時,斷然縱身躍入海裡。然而……當我雙腳離開甲板,與船隻絕緣的那一剎那,突然感到就這樣死的話太可惜了。我衷心後悔起我做的行動。可是,一切都太遲了。再怎麼後悔,我終究得沉入海底。

只是船隻似乎很高,我的身子雖已離開船隻了,雙腳卻久久都不能著水。身旁又沒有可抓的東西,於是我的身子逐漸逼近海面。我拼命縮起腳,但海面仍一步步向我逼近過來。水面一片漆黑。

然後,船隻一如平常地吐著黑煙,從我身邊駛過。此時,我才醒悟到,即使不知船隻將駛往何方,我仍應該待在船上的。遺憾的是,我已無法實行了悟後的道理,只能懷抱著無限悔恨與恐佈,靜靜地墜落於黑浪中。
人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない。
待て、而して希望せよ。
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[无标题] - 由 toki - 2005-1-27 18:23
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